7月19日根岸ハピバ!【笛!】
- 2012/08/01 (Wed) |
- 中西&根岸 【笛!】 |
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----- 7月19日 am 5:56
枕もとの携帯電話が歌う。
「ん~~~・・・」
くぐもり声で唸り、根岸は眠りから半覚醒の状態でボタンを押し耳にそれをあてた。
『あ。出た出た。ネギ、おっはー。』
電話の相手は軽快に話すが、半分寝ている頭は会話を聞き流す。
辛うじて電話の声の主だけを特定した。
「・・・なか・・・に・・し・・・?」
『何よ、こんな美声他に誰がいるわけ?』
ケタケタ笑う彼に“あ~…中西だ…”と再認識し、同時に早朝であることが脳内に掠める。
「!!?」
寝坊したかと思い、勢いよく起き上がると二段ベッドの一階から脱出する。
そして、通話相手の寝床であるベッドの二階を見上げた。
カーテンはあいている。
中は裳抜けのから。
机の上にある時計は、まだ早朝6時前を示している。
また少しぼんやりとしてきた頭に『もしもーし』と遠巻きな声が届いた。
「中西、何処にいるの?」
声を聞く限り、非常にご機嫌な中西は『秘密~』とはぐらかす。
微かに風の音がした。
中西は朝に弱い。
起こしても呻くだけで起きないし、朝練は何食わぬ顔で途中から混じっている。
その中西が、この時間に外にいる。
確かに昨日の夜は部屋にいたのだが…
訝しげに考えていると、
『ねぇ、靖人』
彼は名前を呼んだ。
「…なに?」
『お誕生日、おめでとう。』
「…え、あ…?あぁ今日、俺誕生日かぁ…」
『ちょっとぉ』と電話越しに聞こえる先程と打って変わって不機嫌な声は『ネギ、反応薄すぎじゃない?』と文句を言う。
「いや、いまいちピンときてないもんで……」
『ほんっと鈍いなぁ』
クスリと笑った声に「うっさい!」と頬を膨らます。
しばしの沈黙。
気を利かせたように、セットしていた目覚まし時計がなった。
「中西、ありがと。」
『礼を言うには早いんじゃないかな。』
「え?」
プツリ・・・
電話が切れてしまった。
「なんだ?」と首を傾げるが、朝練の時間も迫っている。
まぁいっか、と持ち前ののんきさで洗面所へ足を向けた。
その日のフィールドに
サッカーボールで作られた「ネギ ハピバ」の、文字が・・・
タレ目バツイチ子持ちの鬼に火を点けたのは言うまでもない。
「根岸!何をしとるか!!」
「俺じゃねーっす(ガタブル怯)」
もちろん、あの男の姿は見当たらなかった。
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中西は本当に伝えたいことがあるときは、ネギを名前で呼んだらいい。
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