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ハロウィン2012【幻サカ】

「今年もついに来たか・・・ハロウィンの季節が!!」

今しがた到着した街の装飾を眺めながら、雪之丞がゴクリと生唾を飲んだ。


拍手[1回]





それを横で聞いていた たすくが「そうですね」と反応する。

「まぁ・・・ぶっちゃけ、このサーカスに入団してから毎日がハロウィンというか・・・」

どこか遠い目をした たすくに

「これに限り季節感ないもんなぁ。」

とサフランも同意した。

両名の言葉に目を潤ませた雪之丞が思わず二人に抱きついた。

「「ぎゃぁぁぁ!!!」」

二人の叫び声に動じるどころか、抱きしめていた腕に“ひしっ”と力をこめた。

「お兄さんは・・・お兄さんは、仲間が出来たことに感激よっ!!」

 ※これまでは、かなり酷いハロウィンを送ってきたものと思われる。

雪之丞はパッと二人を解放すると、グッと拳に力をこめた。

「二人とも!無事、ハロウィンを生き延びてね!ここのハロウィン、巷の様な生易しさ全くないから。」

たすくは顔を真っ赤にしたまま座り込んでしまっている。

「は!?」

声を上げたのはサフラン。

「いやいやいや、どういうこと!?」

「三つ子なんかは、相手の身ぐるみ全部はがす勢いでお菓子もらいにくるから。」

昔、用心棒だったという男が心なしか震えている。

「・・・えと・・・なんだ・・・子供はきっと元気な方が・・・」

無理矢理プラス思考に持っていこうとするサフランだったが、雪之丞がそれを制した。

「そもそもさ、うちの団員たち、ハロウィンっていうイベントを根本的に何か勘違いしてるんだよね。」

やっと立ち上がったたすくが「でも私、皆がどんな仮装するのか興味あるかも」と無理矢理笑って見せた。

「仮装も何も、パンプキンなんかは頭(かぼちゃ)を小脇に抱えて襲来するからね。」

「首なしパンプキンですか!?なんてシュールな!」

「え、あの頭取れんの!!?」

「まぁ、パンプキンなんてまだ可愛いけどさ。去年の団長なんて・・・」




--- それはハロウィンの朝の出来事です。

人肌の温度を不思議に思って目を覚ますと、ベットの中に団長が。

「うわぁぁぁ!!!」

「朝から煩いですねぇ・・・。」

--- 俺が人の気配に気がつかないわけないのに!!

「だだだ団長、なんで?」

「今日は、10月31日です。」

「・・・あ゛・・・!!」

「早くお菓子くれないと、悪戯しちゃいますよ?」

子供のようにニッコリ笑う上司に頭痛をおぼえながら、ハロウィンの護身用に買っておいた菓子を「どうぞ」と渡した。

しかし、団長は

「やっぱりお菓子は要りません。」

と断り、スルリと目隠しをはずして俺に圧し掛かった。

「コレがいいですねぇ・・・」

無表情で“コレ”を指差す。

「その“目”をくれないと、悪戯しちゃうぞ。」

・・・とても楽しそうに笑っていた。




「なんてことがあったよ・・・。」

「コワッ!!」

思わず震え上がったサフランと、たすくは地面につくのではないかという勢いで顎を外していた。

「ゆ・・・雪之丞さんは無事だったんでしょうか?(いろんな意味で)」

「無事無事。結局“冗談です”って言ってお菓子持って帰ったから。」

「俺、今までハロウィンは楽しいものだと思ってたぞ!?」

「マリオネットは、お菓子食べられないから頭を180度回転させてアクセサリー要求してくるよ。」

「エクソシスト!?」

「アクセサリーとか悪質な!」

「・・・サフラン、あたし、やっぱりこのサーカスでやっていく自信がない!」

「奇遇だな、俺もだ。」

「おいおい、大丈夫だぜ。二人とも。」

「「ソルト!」」

歩いてきたソルトが呆れたように溜息を吐いた。

「そろいも揃って、油売りやがって。仕事余ってんだぞ。」

“やばい”と顔を見合わせた二人だったが、ソルトの「もうハロウィンか」という言葉に、すぐ反応した。

「そうそうそう!それよ!」

「大丈夫って、どういう意味なんだ!?」

食って掛かってくる二人に驚きながら、ソルトが答える。

「皆、雪之丞にしかやらないから。」

「ちょっとぉぉ!ソレどういう意味よ!!」

音速レベルで雪之丞が切り返すが、ソルトに「そのまんまの意味だよ」とバッサリ切られた。

「ドンマイ。」

「サフラン・・・他人事だと思って!」

「だって他人事だもんよぅ。」

「くっ・・・こんなのただの恐喝強化週間じゃないのよ!オリゴだけ脅迫だけど。」

「オ、オリゴが脅迫?」

驚くたすくに雪之丞が力強く頷いた。

「アイツが一番タチ悪いんだ。」

雪之丞の顔色は、白を通り越して真っ青になっている。


ハロウィンの日、オリゴは特に仮装などしない。

ただ、出くわしたら最後。

雪之丞が気配に敏感なのを分かった上で、殺気全開でヒタヒタ近づいてくる。

もちろん、右手にはもれなく鞭が。

そして、抑揚なく言い放つのだ。

「お菓子くれても、イタズラしちゃうゾ☆」

ハロウィン当日、大抵昼にもなれば雪之丞とオリゴの姿が見えなくなる。

ほぼ半日耐久鬼ごっこに突入するからだ。



その話にサフランは他人事とはいえ、恐怖で言葉が出なくなっていた。

たすくも顔が蒼白になっている。

「そんな言い方ないだろ、雪!オリゴは・・・オリゴはなぁ!!お前の勘が鈍らないようにって!!」

「ちょ、何良い話にまとめようとしてんの!?違うって!絶対そんなんじゃないから、アレは!!」

「“アレは”・・・?」

居ない筈の魔王の声が聞こえて全員フリーズする。

気のせいではないらしく、続けざまに声が降ってきた。

「随分楽しそうだね。何の話をしているの・・・カナ?」

「お、おうオリゴ。わりぃわりぃ。すぐ作業に戻るぜ。たすく、サフラン、行くぞ!」

ソルトが二人を連れて、その場をそそくさと離れる。

「“触らぬオリゴに祟りなし”だ・・・。」

小声で呟いたソルトの格言が、新人二人の脳内辞書に深く刻まれた瞬間である。

その日の夜、結局戻らなかった雪之丞とオリゴは、皆より一足早くハロウィンを満喫していると勝手に解釈された。

「ゆきのじょうさん と おりご、なかがいいね。」

和やかな口調で言ったレイに

「あら、折角だから今年はレイも混ざってきたら良いじゃない。」

と明るく勧めたマリオネットにも恐怖を感じられずにはいられない、たすくとサフランだった。

「どんだけハイクラスの鬼ごっこだよ。」

「雪之丞さん、無事に戻ってこられるといいね・・・。」




END


一応、やる時はやる男、雪之丞なので・・・命がある状態で帰還します。たぶん。

公式オリゴは、そこはかとなく雪兄さんにだけ冷たいと思う。

雪「オリゴ、俺のこと嫌いだろ?」

オ「嫌いじゃないよ。好きでもないけど。」

雪「ひどい!」

オ「こうやって、日々ストレスを発散しています。」

雪「ちょ、俺のストレスは・・・!?」


本当は雪ちゃんも大好きなオリゴさん。

あ、そうか。雪之丞さんにだけ、ツンデレということで。(都合のいい解釈の仕方)



鬼ごっこオマケ↓↓↓






※自分で描いてて意味がわからなくなりました。


更に、別件オマケ↓↓↓



お粗末様です。


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オリゴ怖ッ!

触らぬオリゴに祟りなし!
間違いないね(笑)
リアルに鞭持って追っかけてきそう…
  • レン さん |
  • 2012/11/01 (22:44) |
  • Edit |
  • 返信

Re:レンちゃん【オリゴ怖ッ!】

レンちゃん、いらっしゃい!
完全にやりすぎた感がありますがw
書いている時の私の表情は、ニヤニヤだったり凶悪犯(inオリゴ)だったりして不審者の鏡でした。
でも書いてて楽しかった(笑)
  

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