“・・・合わせ”
- 2013/07/24 (Wed) |
- 幻想曲芸団 |
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気配を消し初太刀で終わる筈だった仕事は、ヒラリとかわされ、
相手の手から手品のように飛び出した硝子の欠片が、
正面からピタリと俺の首筋へあてられた。
対峙した獲物は場に相応しくなくニコリと笑う。
「アナタの負けです」
無慈悲にも俺を射抜いたのは、
目隠しの下の見えぬ視線。
【向かい合わせ】
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背中越しに聞こえる声だけを聴き、
微かに感じる背中の熱だけを頼りに己の居場所を確認する。
闘う事しか知らない俺は息をするように今日も誓う。
「背中は俺が護ります」
言葉を返さないアナタは、
また困ったように笑っているのだろう。
【背中合わせ】
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隣を指差して「おいでなさい」と。
少し距離をとって隣へ座すれば、満足げに笑んだあの人は
空いた距離など気にもとめず手を伸ばして、
凍るような温度の指先を俺の冷たい指へ絡めた。
「温かい…」
不覚にもそう漏らしたのは、
何故か俺の方。
【隣合わせ】
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前触れなく彼女は言う。
「あんたって、見た目以上にヘタレよね」
『は?』
「もっと気の利いた事言えなかったのかしら?」
会話が成立しないまま「どうなの?」と自動人形は問う。
最後は態とらしく盛大に溜め息をついてプイと横を向いてしまった。
「団長の手が温かい訳ないじゃない!」
【お問い合わせ】
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マリ姐さん、ちゃっかり見てたのか?っていう。
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